定款における経営範囲に関する条項について留意すべきこと

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前回は「中国で法人を設立するときに定款は、出資者が自由に作成できるのか」と題して、中国における定款は要点さえ抑えてしまえばルールは最低限必要な取り決めだということを共有させていただきました。

それでは今回は、この定款における経営範囲に関する条項について留意すべきことについて共有させていただきたいと思います。

この場合における経営範囲とは、合弁企業が従事可能な経営活動(プロジェクト)を簡潔に表現したものです。

 企業が従事可能な経営活動を詳細に表現したものとして、フィージビリティ・スタディ(いわゆる「FS」を指します)報告書があります。

フィージビリティ・スタディ報告書とは投資プロジェクトについて、投資者がその経済上、技術上、財務上の実行可能性を検討し、申請届出機関に対して説明をする文書をいいます。

従って、経営範囲はフィージビリティ・スタディ報告書の内容を反映したものでなければなりません(両者は表裏一体の関係に立ちます)。 

経営範囲を逸脱しますと、行政処罰が科される可能性があります(1)ので(なお、中国では、日本における定款記載の目的とは異なり、経営範囲の逸脱が厳格に判断されますので、何をもって経営範囲と設定するかが非常に重要になります)、その記載を明確化し、担当者(日本側当事者の派遣する総経理等)が交替しても、文言上、何が合弁企業の従事可能な経営活動であるかをはっきりと認識できるようにしておく必要があります。 

(1)「外国投資家投資の会社の審査・認可および登記管理の法律適用に係る若干の問題に関する執行意見」(国家工 商行政管理総局/商務部/税関総署/国家外国為替管理局 2006 年 4 月 24 日発布、工商外企字[2006]81 号)第 27 条によれば、経営範囲を逸脱した場合、「外商投資産業投資指導目録」の分類に応じて次のような処罰が科されま す。 

「奨励類」または「許可類」の経営活動を行った場合 

「会社登記管理条例」第 69 条により期限を区切り登記するように命じられ、期限を過ぎても登記しない場合には 1 万元以上 10 万元以下の罰金が科されます。

事案が重大である場合には営業許可を取り消されます(「外国投資家 投資の会社の審査・認可および登記管理の法律適用に係る若干の問題に関する執行意見」上は「会社登記管理条例」第 73 条と記載されていますが、会社登記管理条例の改正(2014 年 2 月 19 日改正発布、同年 3 月 1 日施行) により第 69 条とされています)。 

 「制限類」または「禁止類」の経営活動を行った場合 

「無許可証経営調査・処理・取締弁法」(2003 年 1 月 6 日国務院令第 370 号発布、2011 年 1 月 8 日改正発布、同日施行)第14条により違法所得を没収される他、罰金や刑事処罰を科されると規定していましたが、当該弁法は2011 年 1 月 8 日国務院令第 588 号により改正公布、同日施行され、その後、2017 年 8 月 6 日に「無証書・無許可証経 営調査処理弁法」が国務院令第 684 号により公布、同年 10 月 1 日施行されたところ、旧弁法の第 14 条の相応内 容が「第 13 条  無許可証経営に従事した場合には、工商行政管理部門が関連する法律及び行政法規の規定によ り処罰する。

法律及び行政法規に無許可証経営の処罰について明確な規定がない場合には、工商行政管理部門 が違法行為を停止するよう命じ、違法所得を没収し、1 万元以下の罰金を併科する。」に修正されました。 

それでは次回は総投資額や登録資本についてどのようなものかというご質問も多かったのでお答えさせていただきます。